今現在の出来事が歴史の教科書に載るならば『イスラム過激派によるテロが世界で頻発した時代』と表現されるのだろうとニュースを見る最近ですが、遡ること20年前、ここ日本でも世界中を震撼させた毒ガスサリンによるテロ事件が起きたことを20代以下の方は知らないかもしれません。

今回特番はありませんでしたが、番外編として『池上彰解説塾 戦後70年。世界を、日本を動かした名言を大特集!』でも扱われた『オウム真理教事件』、この事件後に生まれた世代が大学生になり、ヨガに誘われ、気付かぬうちにその後継団体アレフに入会していたという状況が未だにあるとのこと、この番組での言葉のチョイスが印象的だったこともあり、この節目に取り上げることにしました。

地下鉄サリン事件から20年目の3月20日、ほとんどのニュースがオウム真理教事件を報じましたが、現在の勧誘手口はヨガ教室を装って知人などを勧誘し、ヨガ理論や輪廻転生論を学ぶと、マスコミによる陰謀論を植え付けて麻原を崇拝するよう洗脳していくとのことです。
その手口が当時と変わらないことに閉口するとともに、あの日『日本は一体どうなってしまうのだろう?』とニュースにかじりついたことを思い出しました。当日朝のニュースはそれ一色で、地下鉄の出口には平日朝にもかかわらず沢山の人が苦しそうに倒れ、しゃがみ込み、救急隊や消防隊員が行き交って、ヘリの音が生々しく響き渡っていました。
その映像は衝撃的で、先の見えない不安感に襲われたのは私だけではないと思います。

さて、番組内ではオウム真理教の教祖麻原彰晃こと松本智津夫が信者を洗脳するために使った言葉が二つ取り上げられていました。それは『修行するぞ』と『ポアするぞ』です。
『ポア』とはサンスクリット語で本来『より良いステージに上げる』ことを意味するのですが、麻原はそれを捻じ曲げ、相手の悪行が少ない間に相手のためを思って救済する、つまり殺すという意味を持たせて使用したのでした。教団が起こした事件は地下鉄サリン事件を筆頭に、広く知られるのは坂本堤弁護士一家殺害事件・松本サリン事件などですが、その中には口封じのためにポアと称して殺された信者も存在しています。

解説を聞きながら『修行するぞ』と『ポアするぞ』の間に妙な違和感を覚えました。
オウム信者、特に事件を起こした幹部は高学歴のエリートと呼ばれる人たちです。もう一つの言葉『修行』の意味は『悟りをめざして心身浄化を習い修めること』とあります。時代の閉塞感に彼らは更なる高みを目指したのでしょう。麻原が纏うただならぬ空気感に深みを見出した信者も居るかもしれません。

その一方で、ポアという言葉で殺人を誤魔化し、自分に都合が悪ければ相手を敵とみなして殺してしまえという至極短絡的な発想に矛盾を感じなかったのだろうかと。しかし、そこに気付けなくなってしまうのが洗脳の特徴なのだろうとも思いました。

麻原が目指したものは、麻原をトップにした宗教的国家を作ることだったようです。今まさにニュースで見かけるどこかの国の出来事と重なる部分があるような気もします。
歴史は繰り返すという言葉は残念ながらこの地球上では普遍の真実なのかもしれません。