5月28日開催 「第2回サイエンスコミュニケーター養成副専攻講演会」『これから世界が求めるサイエンスコミュニケーターとは』 in 同志社大学を池上ウォッチャーCHIEがレポしました!

 知の世界への案内人、池上彰。知の巨人、佐藤優。
 共著は5冊。当初の帯は背中合わせ、地球儀を二人で支え合った後、どアップの顔が向き合ったかと思えばそれぞれの必須ツールを手元に全身でこちらを見据える。
 この二人に同時にお目に掛かれる機会があるのなら、たとえ火の中水の中・・・。ということで行ってきました、同志社大学。

 この講演の趣旨は「これから世界が求めるサイエンスコミュニケーターとは」。
 そもそもサイエンスコミュニケーターとは、『文系理系の専門を問わず、科学技術と社会を繋ぐために活躍する人』のことで、急速な科学技術の発展に伴って、十分な理解がなされないために一般の人々が抱きがちな混乱を防ぐため、正しく科学技術を理解し自分で判断する能力つまり科学リテラシーを持つ人を養成しましょうという取り組みです。

 講演の詳細については、後日毎日新聞に掲載されるとのことなのでそちらにお任せすることにして、ここではウォッチャーが印象に残ったことを搔い摘んでお届けします。

 さて、池上さんはテレビ出演時は優しい解説者ですが、講演時は選挙特番のような鋭い池上彰へと変貌を遂げることがあります。
 それはジャーナリスト池上彰の顔であり、東日本大震災時を振り返りながら、特番などで科学者が当然のようにベクレルとシーベルトという単位を使いながら放射能について話していたけれど、聞く側としては『そもそもの知識』が存在しないため何を話しているのか理解できず、「それは何のことですか?」という質問もできないまま番組が進行してしまい、視聴者に正しい情報が伝わり難かった、とのエピソードを踏まえて、『何が不安なのか分からないのが一番不安』なので『正しく恐れる』ことが重要で、そのためにも理系と文系を繋ぐ人材が必要だ、と語りました。
 ちなみに放射能とは放射線を発する能力のことで、その能力を表すのがベクレル、人体が直接受ける放射線量を表すのがシーベルトです。

 ところでウォッチャーにとって衝撃だったのは佐藤優氏のその個性でした。
 巷では埋没することが難しいであろうその個性を氏の母校で如何なく発揮されるのですが、凡人のウォッチャーでは共通言語が不足するため意図を探るだけで氏の言葉を理解するのに若干のタイムラグが生じるのです。
 しかしながら、パネルディスカッション時に池上さんがその本領を発揮します。その圧倒的な知識と自由な感性から奔放に放たれる氏の発言を池上さんは自らに引き寄せ、上手いこと凡人の私にも伝わるように言語化していくのです。
 佐藤氏とケミストリーが合うであろう池上さん、共通言語を持たない人の橋渡しをするという意味であれば、その姿は既にサイエンスコミュニケーターなのではないかと思いました。

 余談ですが、パネルディスカッションで二人は並んで檀上で着席しているのですが、学生が意見を述べる際、肩肘付いて学生の方を向き話に聞き入る池上さんと椅子にもたれ掛かって視線を宙に浮かべながら意識のみで話を聞く佐藤氏。おそらく自然体であろう二人の姿のコントラストが何とも絶妙で、その仲の良さは間違いないのだろうと思いました。

 最近、飛び道具化しているニュースに首を傾げる日々ですが、講演中の池上さんの『すぐ役に立つ知識はすぐ陳腐化する』との言葉を思い浮かべながら、「知のコラボレーションに触れて有意義な時間を過ごせた」と満足して帰途に就いたウォッチャーなのでありました。