ここ数週間、いや今年初めからニュースといえばトランプ大統領か北朝鮮の話題ばかり。いつまでこれが続くのやらと途方に暮れるウォッチャーですが、今回の未来世紀ジパングでは『なぜ潰れない!?北朝鮮経済のカラクリ』と題し、北朝鮮の実情を詳細解説です。

 そもそも北朝鮮とは、人口約2,500万人を擁し、主な産業は農業・漁業や鉱物資源の輸出などで、国民総所得は不明とされ、GDPは約2兆円、世界116位と推計されています。
 北朝鮮は2006年に核実験に踏み切ったことにより、国連から、1,石炭の輸入制限、2,武器取引の禁止、3,北朝鮮金融機関の口座開設禁止などの経済制裁が課されているはずですが、ミサイル実験が止まりません。

 昨日、また北朝鮮の挑発映像が公開されましたが、あの前時代的な映像や餓死者のニュースと最先端の科学技術を必要とするミサイル実験が頭の中でどうにもリンクしないのです。
 北朝鮮=餓死、のイメージがどうしても拭えないのですが、それは最高指導者による失敗の歴史でもありました。

 建国の父とされる金日成国家主席は主体農法(米の密植・山を切り崩して段々畑にする)を提唱するのですが、ことごとく失敗、食糧不足による死者が300万人を超えたと推定されています。
 また、その息子の金正日総書記、2002年9月の小泉総理の電撃訪朝は皆さまの記憶にもまだ新しいのではないでしょうか。国交正常化交渉を始めるための日朝平壌宣言を発表しました。
 このとき金委員長はそれまで否定してきた日本人拉致を認め北朝鮮は国家として謝罪します。しかし、横田めぐみさんらが死亡したと発表したことから日朝交渉は頓挫。『拉致を認めて謝罪し、その代わりに日本から多額の経済支援を引き出す』という金正日氏の計画は大失敗に終わるのです。

 その一方で、外貨獲得の手段として、代表的な年間数十億を稼ぎ出す美術集団万寿台創作社や世界に5万人とも言われる出稼ぎ労働者により、北朝鮮当局によれば年間およそ2,500億円の収入があると公表されています。
 また最近頻繁に行われるミサイル発射実験、これもミサイル技術をアピールするためのものであり、さらに国連で禁止されているはずの武器輸出ですが、2007年シリア砂漠に建設された建物をイスラエルが爆撃した際、抗議したのはなぜか北朝鮮ということで、ここでプルトニウム抽出を目論んでいた可能性があり、核開発技術も輸出していたのではないかと言われています。

 この番組を見て、歴代指導者に通底する思考の底の浅さと学習能力の無さは、この北朝鮮が置かれている環境からもたらされているのだろうなと思いました。
 例えば、出身成分と表現される国民の階層ですが、1,核心階層(30%)、2,動揺階層(50%)、3,敵対階層(20%)と3段階に分けられています。核心階層は技術者や科学者なども含まれ、主に平壌に住んでいるのですが、餓死者の多くは敵対階層の人たちで占められているとのこと。

 しかし、核心階層に物や地位などの優遇を与えて忠誠を誓わせ、特権階級の3割さえ生き延びれば国が成り立つとの考え方自体が国のシステムとして破綻しているような気がするのですが…。また、世襲ならそれなりの帝王学のようなものが引き継がれるはずですが、それも見当たらない。

 そもそも自国民に敵対階層を作り、餓死することも厭わないのですから他国民に配慮できる筈もなく、その証拠に側近や同じ父親の血を分けた兄でさえ躊躇なく殺害できるのですから、先日のトランプ氏のように「適切な状況なら会談の用意がある」といくら揺さぶりを仕掛けても金正恩氏も同じく信念を持たないのだから、ただの化かし合いに終始するだけではないのだろうか、と。

 ちなみに北朝鮮の建国は第二次世界大戦後の38度線を境界とするソ連とアメリカの占領をルーツとしており、金日成から続く内政の失敗の連鎖が放置されていることから見ても、周辺諸国のロシア・中国にとっては生かさず殺さずのこの状態が緩衝地帯として都合が良かったのだろうと思えてなりません。

 ただし、信念のない指導者が核を保有し、そのボタンを押せる状況となれば世界の脅威となることは間違いなく、やはり今それなりの手を打っておく必要があるのだろうと、これからの成り行きを見届けなければならないな、と思いを新たにするのでありました。