ウォッチャーには忘れられない写真があります。その真摯さが伝わってくる佇まいと静寂に満ちた空間に瞬時に心奪われ、あまりの美しさに涙したほどです。
 その写真とは、遡ること2年前、天皇皇后が慰霊の旅でパラオ共和国ペリリュー島を訪問された際、海を隔てたアンガウル島へと拝礼されたお姿を遠方から収めた一枚です。
 当時の天皇は81歳。念願のパラオご訪問とのことでしたが、81歳というご高齢での行幸の尊さとその身体へのご負担を思い、畏れ多い気持ちでいっぱいになったことを覚えています。

 さて、今回のテーマは「皇室がわかれば日本がわかる」。
 過去のフジテレビ特番では物議を醸したものもありましたが、今回特番はテーマが皇室なだけに事実に添う内容となっており、最後の池上さんの「天皇陛下が私たちに向けてお気持ちを述べられたということは、私たちが『天皇とはそもそもどんな存在なのか?』ひいては『日本とはいったいどんな国なのか?』ということを考えるための陛下からの問題提起だったのではないか」との言葉のとおり、陛下にまつわる丁寧な解説がなされていました。

 さて、そもそも天皇とはどのような存在なのか、ここでしっかりおさらいしておきましょう。

 天皇とは日本国憲法に定められるところ、日本国あるいは日本国民統合の象徴であり、また今上天皇は第125代天皇にあたるとのことです。
 初代天皇は天照大神の子孫である神武天皇とされ、古事記と日本書紀にその旨が記載されており、天皇家は紀元前600年、つまり2,677年前から続いている世界で最も古い皇族として、ギネス世界記録にも認定されています。
 なお、天皇が国家安寧と国民の幸せを祈る神道の儀式を宮中祭祀と呼び、その回数は年間20以上にも及ぶとのこと。

 これとは別に天皇陛下にはご公務があります。宮内庁によると2016年の公務は800件以上、日数にして264日にも及びます。
 主なものとしては、1,各国元首や大使のおもてなしをすること。2,春や秋の園遊会や拝謁などで人に会うこと。3,ご執務と呼ばれる国の重要な書類に署名、捺印をされること。4,国会開会式で開会のお言葉を読み上げること。
その他、多岐に渡るご公務をこなされています。

 また、陛下は皇太子時代の記者会見で、日本人として忘れてはならない日として、『沖縄慰霊の日(6/23)、広島原爆の日(8/6)、長崎原爆の日(8/9)、終戦記念日(8/15)』を挙げられており、先の大戦を受け、ご公務や宮中祭祀の合間を縫って国内外へ慰霊の旅を続けられ、戦争犠牲者とその遺族へ心を寄せられてきました。
 その一方で、自然災害が起こった地域へも足を運ばれ、沢山の被災者たちへ励ましのお言葉を掛けてこられたことは、私たちの記憶にも新しいのではないでしょうか。

 番組ではその他、陛下に関する微笑ましいエピソードも紹介されていましたが、上記スケジュールを知ってしまった以上、今上天皇にこれ以上のご負担をお願いすることはできないような気がします。国民にとって天皇とは、その存在に励まされ、尊敬の念を抱き、そして愛情を感じてきた存在であるからこそ、お身体を大事にしていただきたいと願ってやみません。
 
 日本という国で2,677年前から育まれてきた天皇による国家と国民の安寧と繁栄への祈りが国民へと届き、国民主権の世になっても天皇と国民が相互に思い遣ることのできる文化であることに改めて深い歴史を感じ、今後、今上天皇の思いに添った退位の流れとなるよう祈るばかりです。