「1月3日放送の番組レビュー?」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、最近トランプ大統領と北朝鮮の話題ばかりで食傷気味なので、今回は角度を変えて、今日のトランプ氏の新大統領令にも繋がってくる難民について取り上げます。

 番組ではまず、池上さんが難民について解説。
 難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見や、または特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるか、あるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた人々」と定義されています。
 報道などでは、「移民難民」と一緒くたに表現されがちですが、『経済的理由で移動する』移民と『危険でその国に居られない』難民とはその背景が根本的に異なっており、現在、世界の難民・国内避難民は約6500万人と言われています。

 さて、ここ数年内戦が続くシリアは、アサド政権軍・反政府勢力・イスラム国の三つ巴状態となり、アレッポはロシア軍の支援を受けたアサド政権によってほぼ制圧されたと伝えられていますが、取り残された市民が「5万人以上が公開処刑や空爆で死んだ」「アレッポを救って」と動画を投稿するなど未だ激しい戦闘が続いているようです。
 この内戦により、シリアでは国民の2人に1人が住む家を逃れ難民となり、ヨーロッパを目指す状況となっています。

 番組では、セルビア・ベオグラードの難民キャンプの生活や、その他の難民が寝泊まりに使っている廃屋などを紹介。難民キャンプの人達は部屋や食事が確保されていますが、廃屋に暮らす難民は室内で火を起こして灯りや暖を取るなど窮屈で不衛生な生活を強いられています。

 一方、池上さんは現在デンマークに暮らすシリア難民夫婦を取材します。
 困難のなかデンマークに辿り着いた夫妻ですが、現在の難民に対する不寛容な風潮について問われると、「シリア人は死の危機に直面して逃げてきています。難民に混じったテロリストが爆弾テロを起こしているので受け入れたくない気持ちも分かりますが、散々な目に遭いながら来ているのにテロリストの疑いをかけられて疲れ切っています」と困惑気味に答えていました。
 その生活ですが、デンマークでは難民に対し政府から月に1人あたり約11万6000円が支給されており、その財源はデンマークの国民の税金により賄われている、とのこと。

 ここで番組の風向きが変わります。
 4月に行われるフランス大統領選挙。アメリカ同様フランスでも国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が「難民受け入れは全面的に停止すべき」と主張するなど、極右政党が台頭してきています。

 番組はナンバー2のブルーノ・ゴルニッシュ氏を取材。ブルーノ氏はこう語るのです。
 「グローバリゼーションや自由貿易に反対し、ロシアとの関係修復を目指し、アメリカの覇権主義を止め、その同盟国には自分たちのことは自分たちでせよ、と訴える」
 「大量の難民がフランスに何を求めて来るかというと教育や医療や福祉をただで受けに来る」

 そして、特に若い世代の難民受け入れに拒否反応を示してこのように話します。
 「アフガニスタンやマリをイスラム過激派から守るためにフランス軍が派遣されている。フランスの若き兵士に死傷者が出ている。アフガニスタンやマリの若者は自分の国を守らない一方で、なぜフランスの若者が傷つかなければならないのか」と。

 番組を通して見た感想ですが、ウォッチャーは、『国益を優先する』と断言するブルーノ氏に反論する術はない。と納得するしかありませんでした。
 グローバリズムとは一体何だったのか、人権意識の物差しはどこを基準にしたらいいのか。最近、心に何も訴えて来なくなったニュースを眺めながらそのようなことを考えました。