この番組を見た率直な感想ですが、まず驚いたのが生放送だったということ。
 しかもタイムリーなことに「私に否定的な世論調査は、すべてフェイクニュースだ」とトランプ大統領が番組直前にツイートするというサプライズ付きです。
 しかし、たった25分の番組にも関わらずこれだけの構成とクオリティの高い番組が作れるのだということが私にとっては最大の驚きでありました。

 さて、私事ではありますがトランプ大統領が誕生してからというもの、全く書く気が起こらないのです。確か私は池上ウォッチャーだったが、あの超大国アメリカを見ても全く心が動かない。
 確か大統領とは、いや世界のリーダーとはそれなりに尊敬される対象だったように思うのだが、トップリーダーであるはずのアメリカ大統領が嘘っぽく、安いドラマの主人公、いや脇役にさえ見えてしまうのだがどうしたものか、と。
 評するにも論ずるにも値しない、筆が進まないがどうしよう、と。

 その想いがこの番組で氷解したのです。
 大統領選中、訳の分からない情報が飛び交っていたことは知っていましたが、それが『Real True News』との文字を掲げたフェイクニュースから来ていたなんて。
 そして、今現在も殊更にフェイクニュースという言葉を叫んでいるのが他ならぬトランプ大統領その人であろうとは。

 同時に素朴に思ったのです。
 今までは、情報発信する側に何らかの意図があったとしても、その主義主張の奥には正義や善に基づいたものがある、という暗黙の了解において情報を受け取ってきたけれど、これからは、情報を受け取る側がまず、『疑う』というフィルターを通して世の中を見なければならなくなってしまったのだなぁ。と。
 既存メディアがある程度のプロパガンダを含んで情報発信していることは想定内ではありましたが、フェイクニュースが罷り通っている現状というのは、『情報に信頼が担保されない世の中になった』と言い換えることもでき、ある意味メディア全体においての『敗北』のような気がしないでもありません。

 少し時間を前後して眺めると、このトランプ大統領が繰り広げている有り様は、アメリカ大統領に黒人が就任し、多様性を掲げる風潮が満ちあふれ、人種や宗教で差別されてはならないという理想の頂点に触れた反動がもたらしたものと捉えることができます。

 現在のトランプ大統領の背後に潜むものが白人至上主義であり、キリスト教やユダヤ教であるならなおさら、それが反動の証左と受け取ることができるのですが、そのトランプ政権がフェイクニュース、つまり嘘の拡散によって築かれたものだと思うとき、『正義や真実というものの脆さ』を改めて思い知らされるのと同時に、『歴史に左右されないために、私たちひとりひとりが意識して真実を見極める目を持たなければならない』と思いを新たにするのでありました。