年末年始お見掛けしなかった日は無かったのでは?というほど引っ張りだこだった池上さんですが、新年一発目はいつもホスト役の池上さんが珍しくゲストで登場した古巣NHKのあさイチをレビューしたいと思います。

 順当であれば、番組で一番時間が割かれていた池上さんの新聞活用術を取り上げるのでしょうが、それは池上さんの新著にお任せすることにして、ここでは長いこと池上さんを見続けているウォッチャーが気付いた池上さんの意外な素顔をピックアップします。

1,毎朝コラムと対決している。
 池上さんはコラムの冒頭を読み始めると、冒頭の文章で今日はこんなテーマだなと読み切ってしまうとのこと。読み切れた場合は『勝ち』で、「何を言うのだろう、どのように話が展開していくのだろう、分からない」と気持ちが盛り上がって、読了後「なるほど、こういう話なのか」と思った場合は『負け』なのだそうです。
 また、「これはお見事」と思えば、その文章を書き写してみると、読んだだけでは気付かなかった文章表現の工夫が理解できるようになるとのことで、池上さんご自身も大学時代、文章力をつけるため就職活動の試験勉強で書き写しをやっていたそうです。

2,首相など権力者に鋭い質問をするが、それを正義から来るものだとは思っていない。
 インタビューで人から本音を引き出すときのコツは、相手に対して知りたい光線を出しながら、「貶めようとか、悪く言いたいのではなく、本当に純粋に知りたい」と、誠意を見せながら尋ねることで、「視聴者が知りたいことを聞くことがジャーナリストの仕事であり、だからこそ聞きたい、との姿勢を示せば向こうも理解してくれる。そうすれば相手との関係も悪くはならない」とのこと。
 なお、政治家へ鋭い質問をしながらも、池上さん自身は「正義というと大げさで、自分には正義があると思ってはいけない」「そのような上から目線で自分が正しいと思うこと自体慎まなければいけない」と思っていて、いわゆる下品な質問や政治に関係ないことは聞かず、あくまでも政治家としてどう考えているのかを聞き出すようにして、スキャンダルは聞かないことにしているそう。

3,ニュースの本質を考え抜いて行き詰ったとき、諦めて風呂に入ったとたんにアイデアが思いつくことをアルキメデスの原理と呼んでいた。
 池上さんの転機は43歳。
 それまで大人向けのニュースを担当していた池上さんが、「こどもニュース」を担当することになります。しかし、『そもそも』が無い子どもにはニュースが全く通じない。
 そこで、分かりやすく解説するために模型を使うことになりますが、模型を作成するにも、そのニュースの本質が分からないと目に見える形で模型を作ることができないため、模型の作成前に、その本質を考え抜いていたとのこと。
 考えても考えても思い付かず、締切り前日に諦めてお風呂に入った瞬間に『はっ!』と思いつくことが多かった池上さんは、「風呂に入ったとたんに気付く、つまりちょっとした緊張がほぐれると思いも寄らないアイデアが浮かぶことを、アルキメデスの原理と呼んでいた」とのことです。

 番組で印象的だったのは、映画のコーナーでスノーデンやスパイの話題が出ても、視聴者からの素朴な質問にも、どこにボールが投げられても池上さんはきっちりそれを受け取り、そして正確に答えを投げて返していたことです。
 今回の池上さんはゲストでしたが、その試合をリードするキャッチャーのような包容力はどこであっても発揮されるのだなぁ、と改めて池上さんの凄さを思い知ったのでありました。