来たる12月15日に安倍首相の地元で行われる日露首脳会談がメディアを賑わせている最近ですが、こちらでは既に取り上げているため、今回はその話題で埋もれがちな南スーダンPKOについて触れてみます。

 昨年、混乱の中成立した安全保障関連法ですが、今年3月に施行され、12月12日午前0時(日本時間午前6時)、南スーダン派遣中の陸上自衛隊に対し、PKO(国連平和維持活動)における「駆けつけ警護」などの新しい任務が課されることとなりました。

 PKOとはpeace keeping operationsの略で、日本では国連平和維持活動と呼ばれています。PKOの主な活動は1.休戦・停戦の監視、2.紛争拡大の防止、3.治安維持、4.選挙監視、5.インフラ整備で、参加国がそれぞれ得意な分野を担当する仕組みとなっています。
日本はインフラ整備を担当し、自衛隊は道路の造成などを行う施設部隊を派遣し、国際貢献としての国造りの役割を担っています。

 さて、南スーダンは2011年に独立した世界で最も新しい国ですが、2015年8月に和平合意がなされるまでは石油利権をめぐって政府軍と反政府勢力の内紛が起こっており、今年7月には首都ジュバで武力衝突が起こるなど、治安に関しその派遣が疑問視されています。

 なお、PKO参加5原則(日本がPKOに参加する際に満たすべき条件)には『紛争当事者の間で停戦合意が成立していること』とあり、「南スーダンは紛争地域に当たらないのか」との声もありますが、安倍首相は「(南スーダンは)永田町よりははるかに危険」(だが)、「我々は一般的な意味として衝突、いわば勢力と勢力がぶつかったという表現を使っている」と答弁し、『南スーダンは紛争地域ではない』との見解を示しました。

 ところで今回自衛隊に新しく付与された「駆けつけ警護」とは、NGOや国連職員等が襲撃された際、現地の歩兵部隊が不在だった場合に、現地に駆けつけ武器を使用して助けることです。自衛隊は他国の人を殺傷した前例はありませんが、今回そのリスクを孕んでいることも忘れてはなりません。

 さて、日本政府はなぜこんなにPKO参加、国際貢献にこだわるのでしょうか。それは1991年に起こった湾岸戦争まで遡ります。
クウェートを侵攻したイラクに対し、国連は多国籍軍(連合軍)を派遣、自衛隊を派遣できない日本は135億ドル、日本円で1兆8000億円の資金提供をします。湾岸戦争終結後、クウェートはアメリカの新聞各紙に感謝の広告を載せるのですが、そこには日本の国旗も国名の記載もありませんでした。つまり、「お金を出しても感謝されない」現実がそこにあったのです。
 当時既に「金だけ出して、汗をかかない」と国際社会から批判は浴びていましたが、この新聞広告の件は日本に衝撃を与え、トラウマとなって、現在の国際貢献をアピールする姿勢へと繋がっています。

 日本は敗戦国です。
 71年前、戦争を放棄し、戦力を持たず、平和国家としての道を歩むと憲法に定めました。しかしながら、明後日の日露首脳会談でも12月26、27日の安倍首相の真珠湾訪問でも現代の私達が戦争の爪痕を垣間見ることができるのです。私たちはその延長線上を歩いています。
 今回の自衛隊への新しい任務の付与が、国際貢献の道として永遠に続いていってくれるよう願うとともに、他国の人が傷つくことにより不意の紛争へと繋がる道とならぬよう、私たちも自分のこととして見届けていく必要がありそうです。