この3連休、空模様が芳しくないことをいいことに池上さんと毎日顔を合わせたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ウォッチャーもその一人です。
 なかでも心に残った番組は、未来世紀ジパングのEU離脱決定のその後、ニュースでは報じられていない今現在のイギリスでした。

 さて、イギリスの国民投票といえば、離脱派の勝利を受けて「インデペンデンス・デイ!」と叫んだ独立党党首ファラージ氏が記憶に新しいのですが、数日後ファラージ氏はなんと党首辞任を発表。また、保守党のEU離脱派の旗振り役で次期首相候補とされていた前ロンドン市長ボリス・ジョンソン氏に至っては、キャメロン首相辞任後、次期党首に立候補しないと表明、離脱派が完全逃亡状態に陥ったことまではニュースで報じられていたのではないかと思います。

 しかしながら今回のジパングで改めて事の顛末を振り返ると、私はいつか見た光景のような気がしたのでした。
 番組ではEU離脱派を表現するにあたり、『先導した』との言葉が使用されていましたが、離脱派の動きは『先導』ではなく『煽動』だったのではないかと思えました。『煽動』は中身を伴わず、国民が翻弄されて終わるパターンが多いように思えます。
 そしてその既視感をたどると、私の頭の中に「トラストミー」と言いながら腹案も出さず火種だけ残して去って行ったいつぞやのリーダーに行き着いたのでした。

 さて、現在のイギリスですが、新首相に就任したのはテリーザ・メイ首相です。
 『鉄の女』サッチャーに次ぐイギリス史上2人目の女性首相で、彼女のニックネームは『氷の女王』。その由来は、派閥を作らず慣れ合いを好まないクールな姿勢からきているとのことです。
 そのメイ首相、トレードマークのヒョウ柄の靴で注目を集めていますが、内閣人事でそのニックネームに恥じない手腕を見せてくれます。残留派のメイ首相は、EU離脱担当大臣に離脱派重鎮のデービス議員を、そして外務大臣に前述のボリス・ジョンソン氏を任命したのです。その落とし前をつけさせる人事には拍手喝采するしかありません。
 また、キャメロン前首相の置き土産とも言える中国との関係には慎重な姿勢で取り組んでいるとのこと。

 ここで池上さんが「離脱決定への後悔を表現するブリグレット(Britain+regret)を受けて、国民投票には拘束力がないので、今後世論がEU残留に傾けばもう一度国民投票がなされてEU残留となる可能性もある」と解説。

 民主主義では政治の質は国民の質とも言われています。
 今回のイギリスの例を見ても、所を変え品を変え、私たちに何かの教訓を見せてくれているような気がしてなりません。かつて見た風景、いつか見る風景、どこかの国のストーリーとしてではなく、その経緯から謙虚に何かを学んでいきたいものです。