週明けから株価が急落しています。発端は今月23日に行われるイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票によるものです。今のところポイントは僅かに離脱に傾いているとのこと。
日本の株価にも強い影響を及ぼすEUの件について、ここで再確認しておきましょう。

 EUとは「欧州連合」のことを指し、現在28か国が加盟、通貨はユーロ、本部はベルギーに置かれています。加盟の一番のメリットは関税が無いことです。
 財政危機でお馴染みのギリシャのような国もあれば、欧州の盟主と言われるドイツまで共通通貨ユーロを使っていますが、関税が無いため自由競争となって経済が活性化し、経済発展できるという目論見があります。
 なお、EU維持のため独・仏・英等の経済的に豊かな国は兆単位のお金を負担しており、貧しい国にはそこから援助がなされる仕組みとなっています。

 そもそもEUの理念は日本女性で初めて貴族の妻として渡欧したクーデンホーフ光子が人種差別に苦しみ、その息子リヒャルトが「民族対立をなくそう」「ヨーロッパを1つに」と汎ヨーロッパ主義を提唱、政治家たちに大きな影響を与えたことから始まります。
 その後、リヒャルトが“欧州統合の父”と呼ばれるようになると、その母・光子も“欧州統合の母”として知られるようになりました。

 また、EUにはもうひとつ大きな目的があります。
 独仏国境付近のアルザス・ロレーヌ地方は両国間によってその豊富な資源を奪い合う悲惨な戦争を繰り返しており、沢山の悲劇に見舞われました。このような悲劇はヨーロッパ各地で起き、第2次世界大戦後は欧州全土が壊滅状態となりました。
 この事態を2度と起こさぬよう、戦争を無くすため、資源を共同管理する国際組織としてEUの前身の「ECSC」が誕生します。これがヨーロッパ統合の第一歩となりました。

 ところで現在ヨーロッパは多国間の往来が自由で、検問もなくパスポートも必要ありません。これによって労働力の移動も自由になると考えられています。
 ただしこれはEUの規定ではなく、多国に接し、検問が悩みだったルクセンブルクのシェンゲン村で決められた「シェンゲン協定」によるものです。しかし最近、犯罪者が他国へ逃亡するおそれがあり、テロ対策の面では大きな課題となっています。

 さて、ここで独自路線を行く国があります。イギリスです。
 もとよりイギリスはシェンゲン協定にも入っておらず、通貨はエリザベス女王が描かれたポンドを使用しています。ユーロ危機の際、英国内ではギリシャ支援への不満が高まっており、さらに昨年起こった難民問題で「難民を受け入れる前に早くEUから離脱を」との声が上がって国民投票が行われることになりました。

 イギリスは現在EUの金融拠点となっていますが、EU離脱で関税が課されれば活動拠点を移す企業が現れ、景気悪化の可能性もあります。一方、EUではドイツの力が圧倒的となり、それを嫌がる国がEUを離脱する可能性も否定できません。さらにイギリス北部スコットランドに至ってはEU加盟を希望してイギリスを離脱する動きも見られ、EUがバラバラになるおそれがあります。

 また、世界への影響としては、中国やアジアは日本から輸入したものを加工してEUへ大量輸出しているため、EUが混乱すると中国・アジア経済が打撃を受け、自動的に日本や世界経済が大打撃を受ける事態も考えられます。

 池上さんは「本来政治に口を差し挟まないはずのエリザベス女王が『EUの分裂は危険』と発言しており、戦争を無くそうとした取り組みがここへ来て揺らいでいる、だからこそ6月23日の国民投票には注目して欲しい」と番組を締めくくっていました。