久々の池上ワールド、確か前回レビューでは『ガラスの天井ヒラリー』を取り上げたのですが、今回の主役はもちろん『共和党のダークホース、ドナルド・トランプ』この人を取り上げずにはいられません。

 ここでトランプ氏の発言をひとつひとつ論ってみてもあまり意味が無いのかもしれないと思ったのは、パックン氏がふと漏らした「campaign promise(選挙公約)は嘘だってみんな知ってる」という発言です。
 政治はまつりごとと表現されますが、今回の大統領選はある意味お祭り要素が強いのかもしれないと思いました。

 なお、今回の大統領選は『ワイン派』と『ビール派』がキーワードになっていると解説。民主党と共和党の支持者に異変が起きており、『ワイン派』は知的労働者、『ビール派』は肉体労働者で、『ワイン派』は民主党、『ビール派』は共和党を支持し、格差の増大で貧しい白人も増えているため、既成の政治家と全く新しい勢力との対立構図で見ることができるとのこと。

 番組内ではトランプ氏の28年前の映像が流されましたが、その頃から大統領への色気があり、また過激発言でもお馴染みだったようです。
 さて、トランプ氏自身は不動産王で大富豪なのですが、面白いことに共和党の支持者層は上記『ビール派』と言われる肉体労働者たちです。確かに氏の発言は「イスラム教徒の排除」や「メキシコ国境に壁」、「日米同盟の撤廃」などなかなかの無知っぷりで、実情を知ってか知らずか民衆を煽り立てるために過激発言をしているのであれば、ガス抜きをしているとは言え、そこで旋風が起こっているアメリカの内情もやはり混沌としているのだろうと推察できるような気がします。

 少し視野を広げて見てみると、発現の仕様は違っていても、時代は『過激』を求めているのだろうと思えてなりません。背景には格差があり、中東では過激派による実力行使がなされていますが、アメリカではこのトランプ旋風が過激の象徴だと捉えると、ある意味民主的で成熟したやり方だと言えるのかもしれません。

 しかし、先日オバマ大統領が日韓の核保有に関するトランプ発言を強く非難したことからも分かるとおり、トランプ氏に外交のセンスがあるとは思えず、番組後半で触れられた日米首脳外交どころかロシアのプーチンとのケミストリーなど考えようものならこちらの頭がヒートアップしてしまいそうです。

 さて、現状では、大統領選に投げ込まれたトランプが、当たり前と思われているあちらこちらの前提に噛み付いたりタブーを投げかけたりして人々の価値観をシャッフルしている状態ですが、この掻き回しがいつまで続くのか、そしてどこに落ち着くのか、今回の大統領選は最後まで見届ける価値がありそうです。