2か月ぶりの池上ワールド、75分番組にもかかわらず新年早々の衝撃ニュースを絡めての解説だったため躍動感があり、とても面白い内容となっていました。

今回取り上げられたのは世界のリーダーたち。新年早々世界を驚かせた二人の若きリーダー、北朝鮮の金正恩とサウジアラビアの国防大臣ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子、そして次期アメリカ大統領に最も近いと言われるヒラリー・クリントン、最後に混迷する世界情勢の中でも強硬姿勢を崩さないロシアのプーチン大統領。なかなかのメンツです。

その中でも一番印象に残ったのはヒラリー・クリントンでした。
日本でも最近『女性の活躍』が盛んに叫ばれていますが、あのヒラリーでさえこれだけの経緯があることを思うと、その道のりは平坦ではないだろうと想像してしまいます。番組も彼女に一番時間を割いていたように思うのですが、ヒラリーがここに辿り着くまでに起こった3つの出来事が取り上げられていました。

さて、その3つとは①メガネをはずした②不倫スキャンダル③8年前の敗北、とのこと。
①夫の元大統領ビル・クリントンがアーカンソー州知事に落選した際、夫の姓を名乗るようになり、髪型を整えメガネをはずすなど身形を劇的に変身させた。
⇒ビル再選、ヒラリーをアーカンソー州教育水準委員会委員長に任命、増税するなどして教育向上に尽力し、成果を上げる。
②クリントン大統領就任時、不倫スキャンダルで窮地に陥った際、大統領が答弁する時に傍らで見守り、良き妻・不倫に苦しむ妻を印象付ける。
⇒女性票のみならず夫を庇う妻の印象も得ることに成功。男性票も獲得し、ファーストレディでありながらニューヨーク州上院議員に当選。
③8年前の2008年、大統領候補者レースに出馬するも伏兵であったオバマ氏に敗北
⇒敗北時の『ガラスの天井演説』に支持者熱狂。オバマ氏が大統領に就任すると国務長官に指名され4年間で112ヶ国を回って外交経験を積む。なお、ビル・クリントン大統領時代に手掛けた国民皆保険制度は、このオバマ政権時に成立を果たしています。

これをなぞるだけでヒラリーの賢さと強かさ、大統領に最も近い場所まで上り詰めることのできた背景を読み取ることができます。
彼女は躓いては何かしら変化を遂げて次のステップに進んでおり、躓いても次へ進むためには周囲から手を差し伸べられるのが必要なのですが、番組ではヒラリーが周囲から引き上げられる所以が理解できる映像が流されました。

それが『ガラスの天井演説』です。予備選での敗北の撤退演説で彼女はこう言ったのです。
『(女性が出世できないとされる)ガラスの天井を打ち砕くことはできなかったが、1800万のひびを入れることはできた。今までよりもガラスの天井から光が入ってくるようになり、私たちを希望で包み込んでくれている。次はもっと簡単になる、それがアメリカの発展の歴史だ。50人の女性を宇宙に送れるのだから、いつかホワイトハウスにも女性を送り込むことができるはず』

敗北という事実がありながら、支えてくれた人達へ感謝と希望を表現し、次へと繋がる道筋を描いて去るというこのスタンスに、私は呆気にとられると共にヒラリーへの賞賛の気持ちが湧き上がりました。

さて、忘れてはならないもう一人の気になるリーダー、強硬派のロシアのプーチン大統領ですが、番組では小走りでプーチンに駆け寄り満面の笑みで握手する安倍首相との会談を流し、「ケミストリーが合うので、5月のサミット前に会って何らかの合意を得たい思惑もある」との解説がなされましたが、『化学反応が起こる』というのであれば、ヒラリーとプーチンの化学反応はどのようになるのだろう?と、今後のあれこれを想像してしまった日曜夕方でありました。