未来世紀ジパング、今回の放送は先週金曜日のフランスのテロを受け、池上さんの緊急生解説です。リアルタイムで見る池上さんの生解説は私たちに歴史という今を生きているのだと自覚させてくれます。

さて、2014年5月末に国家樹立を宣言したイスラム国ですが、最近とうとうロシアまで敵に回してしまい、迷走気味だと感じていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

11月13日、パリで同時多発テロが起こりました。
フランスでは今年1月のシャルリー・エブド襲撃事件で厳重警備が敷かれ、テロリストはオランド大統領が観戦していたサッカー場に入場を試みるも警備が厳重で入れなかったことが後に判明、比較的警備が手薄な庶民の街や一般人を狙ってテロを起こし、人々に恐怖を与える目的があったと解説。

イスラム国の声明文には『ヨーロッパで十字架の旗を掲げる堕落した都パリを標的とした』との記載がありました。
「十字架の旗」とは、11~13世紀西ヨーロッパのキリスト教徒が聖地エルサレムをイスラム教徒から奪回するために行った遠征、つまり十字軍のことで、「キリスト教徒に侵略を受けたので、それに対して反撃する」というのが彼らの言い分です。
しかし、神さまが預言者ムハンマドに託した言葉コーランには『ユダヤ教徒もキリスト教徒も同じ「啓典の民」で、大切にしなければならない』との記載があり、彼らもそれを理解しているため、キリスト教徒に対し『十字軍』というレッテルを貼って殺害を肯定している、という池上解説に、似たような背景を持つ歴史はあちらこちらに転がっているのではないかと思いました。

池上さんは、イスラム国が最近海外テロを起こす傾向について、劣勢に転じたことによる焦りから来ていると分析。
9月30日にはロシアがシリア空爆を開始、またイラク北部シンジャールがクルド人部隊より奪還され、イスラム国は徐々に追い込まれているとのこと。

印象的だったのは、今回のテロはシリア隣国トルコで行われているG20と時期が重なっており、そのシリア情勢で非難し合ってきたはずのオバマ大統領とプーチン大統領が膝を突き合わせて会談をしているシーンでした。共通の敵と対峙した場合、遣り合っていた者同志が手を繋ぐという後世に残るであろう重大な場面をここで見ることができるとは思いませんでした。

今回のテロで浮かび上がる問題は、宗教問題、移民・難民問題、経済、今後のEUのあり方など多岐に渡るため、ここで全部を拾い上げることはできないのですが、最後の池上さんの『テロが起きても日常生活を維持することが、テロとの戦いにつながる』との言葉に思ったのは、日常が脅かされているというのは、空爆を受けている地域も同じではないのだろうかと。

もし、現在のシリア領内、イスラム国圏に充分なメディアインフラがあり、そこから空爆の現状が手に取るように報道されていたら私は今のように感じているだろうかと。
イラク戦争の二番煎じのような情報戦と言いますか、今現在でもテロと空爆が繰り返されているように、十字軍あるいはそれ以前から脈々と続く水掛け論的な歴史が続いていくだけではないのだろうか、と。

映画のようにきれいに「THE・END」とはいかない現実に私たちは何を見つけることができるのか、そして何をすることができるのか。
池上さんの解説を聞きながらそのようなことを考えました。