前回レビューをご覧になって、「偏りがない番組」だとしながら、なんだか政府寄りなレビューだなと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は書き手の私がそう思いました。
今回の『そうだったのか!』も、今月中に成立見込みの安全保障法案について、前回の上を行く偏りの無さで、重要法案のはずがこのような視点での報道がなかなか見られないため、くどいようですがもう一度安保のレビューにお付き合い願います。

今回、安保法案について賛成・反対を並べての解説でしたが、反対多数のためか、先に反対派の意見が流され、その後賛成派の意見を取り上げるという構成になっていました。
要点は集団的自衛権とそれに伴う武力行使の新3要件自衛隊の活動拡大についてです。
集団的自衛権では、自国を自国のみで守るのか、他国と協力するのかとの意見に分かれ、自国防衛の場合、永世中立国であるスイスであっても、徴兵制があり、強力な軍隊が存在し、国民は国防についての意識が高いことを例示。他国と協力する場合、その中でも「抑止力が増す」との意見と「戦争に巻き込まれる」という意見に分かれていることを解説。
武力行使の新3要件では、存立危機事態他に適当な手段が無い必要最低限の実力行使を挙げ、一番の懸念とされる存立危機事態の範囲の曖昧さについて、例えばシーレーンに機雷が敷設された場合、存立危機事態に当たるかどうかは人によって見解の相違が起こることを示唆。また、総理大臣次第でその基準が変わる危惧があり、安倍首相は「日本は平和国家であり自衛には先制攻撃が含まれないため、国際的に見ても極めて厳しい基準である」旨答弁しているとの解説がありました。
自衛隊の活動拡大では、自衛隊のリスクか、国際貢献かの議論があります。現在、自衛隊は海外派遣時、民間人(NPO)や他国軍への攻撃を救助できず、今回の法案が成立すると、駆けつけ警護が可能となります。また軍事的後方支援ができるようになり、活動地域も拡大するため、国際貢献が可能となることで「国際的信頼関係が増す」との意見があるのに対し、「国際貢献に武力は要らない、自衛隊の活動拡大によって戦争に近づく」との意見もあると解説。

新安保について上記のようにまとめましたが、今回もこのレビューを書きながら「これも政府寄りなのではないか」との思いがよぎりました。
最新の世論調査では反対65%とされているのですが、番組内での賛成側の意見も理解可能で真っ当にも思えたからです。私達が日々目にする報道では視聴者の興味を惹くよう情報が切り取られ、ともすると今回の番組のように本質を報道するケースは少ないのではないか。また、情報の受け手の環境や見識によって形成される意見も異なってくるため、報道の軸が見失われがちなのではないか。今回の番組は、情報を受け取る側である私たちのあり方について、問題提起がなされているような気がしました。

さて、安保法案成立まであとわずかとも言われています。政治に関心が高まり、国会審議がここまで注目されるのもあまりないので、最後まで見届けてみてはいかがでしょうか。