数年後の日本の歴史書では今年の夏は『15年安保』となるのかなとニュースを見る最近ですが、今回の『そうだったのか!』は池上解説の真骨頂だなと思わずニヤリとしてしまいました。
現在参議院審議中の安全保障関連法案、バイアスのかかった報道が散見されるなか、テレ朝でこんなに簡潔で偏らない解説が可能なのかと、『土曜ゴールデンのニュース解説番組』の矜持を見たような気がしました。

特に印象的だったのは、憲法学者達の『違憲』との主張に対し、安倍内閣がその例示としている砂川判決の解説でした。
『憲法第9条は自衛権を否定しておらず、他国に安全保障を求めることを禁じていない=(米軍の日本駐留は憲法違反ではない)』⇒他国に安全保障を求めることを禁じていない集団的自衛権も認められている

すんなりと腑に落ちる解説に驚くとともに、パラダイムシフトが起こったような気分になりました。
『虎の威を借る狐』だったはずが、‘自衛のため’との前提を置きながら『鏡を見たら自分も虎だった』という展開です。いや、現況に即して考えれば『元の虎が張子の虎になってしまったため狐が虎の仮面を被らざるを得なくなった』と表現できるかもしれません。

また、60年安保時の映像がありましたが、構図が変わらないことに驚きました。
安倍首相の祖父の岸信介総理が旧安保の不平等を是正し、アメリカに日本の防衛義務を認めさせた60年安保でも、対峙する野党の主張は『アメリカの戦争に巻き込まれる危険がある』でしたが、それから50年を経て野党名が変わっても似たような論陣で、環境の変化に応じて与党が論理跳躍しているのだから、野党は揚げ足を取るのではなく、ロジックを積み上げて反論するほどの成熟を遂げなければ、このように形骸化した国会を繰り返すと共に、この国の本当の意味での自立は叶わないだろうとも思えました。

さて、砂川事件の最高裁判決へと至る背景を考慮すると、『平和安全法制の考え方は砂川判決の考え方に沿ったもの』との見解が果たして日本政府によるものなのか甚だ疑問ではありますが、当時の日本ではソ連以外の隣国が経済大国となって軍拡し、世界の脅威になるとの想定はなかったはずで、これまでの安全保障関連の変遷を鑑みれば、周辺環境の激変に伴って解釈の飛躍が起こるのも仕方がないのかもしれません。

なお、国会では「自衛隊を地球の裏側まで連れて行くのか!」との議論もありますが、番組では、安保の話題の締めで元TBSの吉川さんが「フィリピンからアメリカ軍が撤退して基地がなくなった後の~」と発言、行き着くところはそこ、と結んでいました。

最近日本周辺では、にわかに騒がしさが増しキナ臭い雰囲気が蔓延しています。日本の自衛は日本一国で適うのか。現在米軍には積極的に日本を守る義務などなく、『自衛隊で防衛できなくなれば協力するよ』のスタンスです。

しかしながら、環境の変化によってその場凌ぎの解釈改憲を続ければ憲法を蹂躙する結果ともなりかねず、日本が法治国家である以上、急迫不正に対する法を定めた暁には、きちんとした憲法改正の手続きを経て脅威に対応できるようにしてもらいたいものです。