池上さんはとうとう土日にレギュラーを抱えてしまいました。
5月の最終日に新番組が始まるとはさすがテレビ東京などと思いながら見始めた新番組ですが、これがとても面白かった。池上彰×テレビ東京、これがハマると渋い番組を作るのです。
レビューをご覧の方ならすぐ思い浮かぶことでしょう、政治家に黒い笑顔を見せるあの番組や、夏、戦争に思いを致すあの番組のことです。
前回レビューでは池上さんを出世魚と表現したのですが、テレビ朝日で出世魚なら、テレビ東京での池上さんは水を得た魚というところでありましょうか。

なんてったって番組タイトルが『池上ワールド』、そりゃ面白くないわけがないのです。
ということで第一回目は、戦後70年は仲直りの歴史、そもそも握手とは『武器を隠してませんよ、敵意はありませんよ』の意味を持つものですが、戦後日本の外交でその時々の総理大臣はどのような決断をしたのか、首脳同士の握手時のしぐさや笑顔の具合でその思惑を読み解いていくとのコンセプトで進んでいきました。

番組では過去のモノクロ映像がふんだんに使われ、その映像に『躍動』という言葉が思い浮かびました。戦後の総理たちの映像にはうねりが感じられます。時代が動いているのです。
また、番組構成がたまたまそうだったのか、はたまた歴史とはそういうものであるのか、戦後から現在に至る政治はある意味血をなぞっているもののようにも思えました。
サンフランシスコ講和条約を結び、独立に伴ってアメリカ西側諸国に追随し、経済優先の方針を採った吉田茂は、麻生太郎現副総理兼財務大臣の祖父です。一方、日ソ共同宣言を結んでソ連と国交回復を成し遂げた鳩山一郎は、鳩山由紀夫元首相の祖父であり、さらに、日米双方が日本および極東の平和と安定に協力するとして、アメリカと新安保条約を結んだ岸信介は安倍晋三現総理大臣の祖父となっています。この背景をたどるだけでも充分面白いのですが、ここから未来を思い浮かべると、ブッシュと懇意だったあの人もいつかは…などと想像が膨らんでしまいます。

また歴史を鑑みてみると、現在、集団的自衛権に取り組んでいる安倍首相の思惑やこれからの成り行きもなんとなく感じ取れるような気がします。なお、ソ連と国交を結んだ鳩山氏、中国と国交を回復した田中氏、その後継と言われている人が数年前に民主党となって政権を獲るも、現在失脚しているという勢力図を見て取ることもできます。政治は政局ではありませんが、このような流れで見ても充分面白いものです。

いつも何気なく見ている政治や経済のニュースですが、それは歴史の末端であり、遡れば膨大な歴史の積み重ねに出会うことができます。今回の放送はその面白さを垣間見せてくれたような気がしました。
なおこの番組、次回は7月5日放送とのこと。「さすがテレ東」と再確認した週末でありました。