今回のレビューは毛色を変えまして、バブル崩壊のニュースで登場した生き証人たちの発言から垣間見えた当時の政策の裏側について触れてみたいと思います。
池上さんの最近の特番は、過去のニュースと現在のニュースを照らし合わせて紐解いていくものや、過去50年を振り返って歴史の転換点となるニュースを当時の映像と共に解説するものが多いのですが、今回の特番ではちょっと趣向の違うものが含まれていました。
それはバブルに踊らされた人たちのリアルな回顧が取り上げられ、当時の政策の意図についてさらりと触れたことです。

今まで散々池上さんの特番を見てきたと自負する私でも、これは珍しいなと思いました。

そして彼らはバブルの崩壊について後記のような証言をします。
「1990年3月27日、大蔵省のたった一本の通達でバブルが崩壊した。不動産事業を狙って根底のルールを変えた」「経済の力で景気が持ち上がったのだから自然に上がったものは自然に下げないと後の経済が持ち上がらない」「政府が行ったバブル潰しが失敗だった、潰し方が悪かった」と。
彼らがバブルで非常に苦い思いをした人たちであるとは言え、生々しく衝撃的な証言の数々でありました。

当時の政府は、値上がりを続けてマイホームが買えなくなった庶民の不満を解消するため、『不動産融資総量規制』『地価税導入』『日銀金利引き上げ』の政策を行って、わざとバブルを潰したのです。しかし、その3つの政策が一挙に行われたため、『土地が暴落する』『土地が担保価値を失ったため借金を抱える』『銀行が膨大な不良債権を抱えたため破綻する』という悪循環を引き起こし、バブル崩壊後、出口の見えない経済不況が続くこととなるのです。

私は思い出しました。かつてある番組で、「年金100年安心です」と国会で高らかに発言した厚生労働大臣がその任を終えた後、蓋を開けてみたら全く違う状況であることが明らかになったときにこう言ったのでした。「あれは役人に騙されたのだ」と。
またある番組では小沢一郎氏がこう発言していました。「お上というのは政治家だと思われているが役人だ。そのお上から政治を取り戻すのだ」と。

バブルがはじけて『失われた20年』と言われた1990年代から、やっとのことで「回復傾向が見られる」と言われるようになった現在。時代は繰り返すとは言え、そのきっかけが役人によるバブル潰しだったと当事者たちはリアルに語ってくれました。

民主党政権が躓き、政治がまた役人の手に戻った感のある昨今、数多のニュースに紛れて様々な政策が掲げられているのが見受けられます。お役人が政策全てを牛耳っているとまでは言いませんが、その中にバブル崩壊時のような後世に多大な躓きをもたらす政策が紛れていないとは言い切れません。

国民である私たちも、ニュースを受け取るだけではなく、掲げられている政策やお役人たちの動きを問題意識を持って注視していくことが大切なのではないかと再認識した今回の特番でありました。